当院では「禁煙外来」を開いています。禁煙に力を入れる医者には二通りあります。ひとつは生まれてから一度も喫煙したことのない医師か、少なくともニコチン依存症に陥ったことのない医者。もうひとつはどっぷりとニコチン依存症になり、ようやく離脱できた医者。私は典型的な後者です。もちろん病気にならなければその病気を治せないのであれば医者はすべての病気にかからなければなりません。前者の医師たちは純粋に喫煙の害を伝えることができる強みがあります。後者の私は、強いニコチン依存症にかかって何とかそれから逃れることができた者として、その経験をニコチン依存症に悩む方に伝え、かゆい所に手の届くアドバイザーとして禁煙のお手伝いができるのではないかと思っています。
禁煙の仕方は人さまざまです。要は禁煙が成功すればよいわけですが、私たちとしては「禁煙しよう」と決めたら、禁煙指導を受けられるクリニック(禁煙外来)を受診することをお勧めしています。タバコに対する「心理的依存(習慣)」、イライラなどの離脱症状(禁断症状)を起こす「ニコチン依存」は、医師やお薬の力を借りる方が、それらの力を借りないよりも明らかに克服しやすいからです。 禁煙外来では、医師が身体・精神的に患者さんに合わせた治療を実施します。
下の4条件をすべて満たして医師が必要と認めた場合、一定期間の禁煙治療の受診に保険が使えます(外来診療のみ)。
- 「禁煙治療のための標準手順書」に記載されているニコチン依存についてのスクリーニングテスト(TDS)の結果が5点以上でニコチン依存症と診断されること。
- ブリンクマン指数(1日の喫煙回数×喫煙年数)が200以上。
- 直ちに禁煙を希望していること。
- 「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、その禁煙治療を受けることに文書により同意したもの。