がん医療とかかりつけ医 |
10月 4th, 2011 by 上野桂一 |
現在のがん治療は、高度の分業化に向かっています。がんを発見する一般医や検診医、がん専門内科医、がん外科医、内視鏡治療医、抗がん剤を用いる化学療法医、放射線治療医、さらに精神的ケアを担当する心療内科医などです。
一人の担当医が一人のがん患者さんの治療のすべてを担当することはまれになっています。これまで外科医がその役割を担ってきたのですが、外科医は高度の技術習得に専念し、診断や化学療法は他の専門家に任せるという考え方に変わりました。担当医が次々に変わるので、心細い思いをされているかもしれません。
この分業の弊害をなくすのが、「かかりつけ医」の役割であると考えています。がんの治療は長期間を要することが多く、手術や放射線治療の終了後は在宅での治療が中心になります。日常の診療は「かかりつけ医」が行い、がん専門医へは年に何度か受診して治療方針を点検してもらいます。
「かかりつけ医」は、個々の患者さんに適した治療法をアドバイスします。どこの病院がどのような治療法を得意とし、治療成績はどこが優れているかなどの情報を提供します。より良い「かかりつけ医」の役割をがん医療において発揮できると思っています。
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