「メッシュ法」の手術で使用するメッシュプラグ
鼡径ヘルニア(脱腸)の手術法は進化しています。
「鼠径」(そけい)とは、太ももの付け根の部分で、「ヘルニア」とは、身体の組織が本来あるべき位置からはみ出した状態をいいます。
「鼠径ヘルニア」とは、太ももの付け根にある筋膜の弱い部分から、腹膜や腸の一部が皮下にはみ出してくる病気で、俗にいう「脱腸」です。子どもだけでなく成人にも多く、男性が8割以上を占めます。
発病当初は、起立時や腹圧を加えた時だけ鼠径部の腫れが生じ、指で押さえると引っ込みます。そのうち小腸などの臓器が出てくるので腫れも大きくなり、不快感や痛みを感じるようになります。腫れを押さえても引っ込まず、お腹が痛くなってきた場合には、緊急の対応が必要になります。唯一の根本的な治療法は手術です。脱腸帯などで我慢するよりも手術をした方が、その後の生活の質が格段に改善します。
手術はそれ程大きなものではありません。ポリプロピレン製の人工膜でふさぐメッシュ法が開発され、治療期間が短縮したばかりでなく、術後のつっぱり感が軽く、再発率も低下しています。年齢、性別、ヘルニアの大きさ、両側か一側か、腹圧のかかる仕事かどうかなどによって、手術法、麻酔法、入院期間などを考慮できますので、まずは気軽に相談してください
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膵臓は胃の裏側にあります。
膵臓には二つの働きがあります。食物の消化酵素である膵液を作り出し、消化管に送り出す外分泌機能、体の糖分の利用に関係するインスリンやグルカゴンなどのホルモンを血液中に放出する内分泌機能です。これらの全く異なる機能をともに持っている臓器は膵臓しかありません。なぜ同じ臓器である必要があるのかについていろいろな意見がありますが、はっきりしません。膵臓はとても興味のある臓器です。ただ魚にはありませんし、哺乳類でも十分注意して探さないと周囲の脂肪組織と色も硬さもそれほど違わない、目立たない臓器です。しかも人間では胃の裏にこっそり背中に貼りついたように存在します。
度の過ぎた飲酒は膵臓を傷めますが、まず外分泌腺を壊してから内分泌線の異常、すなわち糖尿病の発病が起こります。また糖尿病の人の中には膵臓が極端に委縮したか脂肪組織に置き換わってしまった場合もあります。
大量の飲酒などで起こる急性膵炎では、強力な消化酵素である膵液が自分の膵臓を消化してしまう、いわゆる自己消化という現象が起こります。しかもその現象は一旦スイッチがはいると制御不能になる場合があり、たとえ膵臓を全部取ってしまっても救命できないほどです。
膵臓癌が現在も治りにくい癌であることはよく知られています。有効な抗がん剤の開発が進められていますが、まだ十分な成果が上がっていません。手術の成果が得られていないことばかりが強調され、代わりになる治療法が育っていないというのが現状です。膵臓癌の死亡者数は3年前の集計で、約2万5千人です。決して少ない数字ではありません。しかも他の多くのがんの死亡者数が減少しているのに反してその数は一向に減る気配がありません。
胃や肝臓の専門医に比較して膵臓の専門医はきわめて少なく、その傾向は北陸でも同様です。膵臓疾患の早期発見や治療にはいろいろ特殊な知識や技術が必要ですから、専門医が増えることが期待されます。
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