鼡径ヘルニア(脱腸)の手術 |
9月 28th, 2012 by 上野桂一 |
鼡径ヘルニア(脱腸)の手術法は進化しています。
「鼠径」(そけい)とは、太ももの付け根の部分で、「ヘルニア」とは、身体の組織が本来あるべき位置からはみ出した状態をいいます。
「鼠径ヘルニア」とは、太ももの付け根にある筋膜の弱い部分から、腹膜や腸の一部が皮下にはみ出してくる病気で、俗にいう「脱腸」です。子どもだけでなく成人にも多く、男性が8割以上を占めます。
発病当初は、起立時や腹圧を加えた時だけ鼠径部の腫れが生じ、指で押さえると引っ込みます。そのうち小腸などの臓器が出てくるので腫れも大きくなり、不快感や痛みを感じるようになります。腫れを押さえても引っ込まず、お腹が痛くなってきた場合には、緊急の対応が必要になります。唯一の根本的な治療法は手術です。脱腸帯などで我慢するよりも手術をした方が、その後の生活の質が格段に改善します。
手術はそれ程大きなものではありません。ポリプロピレン製の人工膜でふさぐメッシュ法が開発され、治療期間が短縮したばかりでなく、術後のつっぱり感が軽く、再発率も低下しています。年齢、性別、ヘルニアの大きさ、両側か一側か、腹圧のかかる仕事かどうかなどによって、手術法、麻酔法、入院期間などを考慮できますので、まずは気軽に相談してください